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2025年05月号-2 |
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551 薬局の45%で経営悪化、プラス改定を要望 |
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日本保険薬局協会 |
全国の551 薬局の 45%で経営状況が 1 年前よりも悪化しているとし、日本保険薬局協会は2026 年度の診療報酬改定で物価上昇や賃上げ分を含めたプラス改定を行うなど4つの重点事項を含む7項目を求める要望書を14日、厚生労働省に提出した。日本保険薬局協会は要望書とともに、関連資料として日本総研が実施したインフレ下での認定薬局の実態に関する大規模調査の結果などを公表した。 調査は、厚労省の医療情報ネット「ナビイ」で公表されている 3,483 の認定薬局を対象に 3月3日−4月30日に実施。551の薬局が回答した(回答率15.8%)。 現在の経営状況について聞いたところ、1 年前より「大幅に改善した」「やや改善した」という回答が19.1%だったのに対し、「大幅に悪化した」「やや悪化した」という回答は44.8%と半数に近かった。経営の悪化に大きな影響があるとされた要因で最も多かったのは(複数回答)、「処方箋の受付回数の減少」の 39.6%。以下は「薬価の引き下げ」(36.7%)、「労務費の負担増」(36.5%)などの順。 今後懸念されることを複数回答で聞いたところ、「薬局スタッフ 1 人当たりの業務負担増」(75.7%)、「薬局スタッフのモチベーションの低下」(63.2%)、「薬局スタッフの離職」(53.8%)などの回答が目立った。 日本保険薬局協会は「インフレの影響が大きく、従業員の処遇改善が喫緊の課題だ」とし、26 年度のプラス改定を強く要望。具体的には、調剤基本料での加点など全薬局への公平な手当てを求めた。 ほかにも、▽薬局の機能に基づく公正な評価▽医薬品の安定供給と後発薬の継続的な使用促進に対する評価▽かかりつけや在宅医療に関する対人業務の評価−の 3 つを重点事項として要望。薬局の機能に基づく公正な評価では、かかりつけ機能を果たし、地域医療に貢献する薬局を評価する「地域支援体制加算」に言及。この加算の要件は、同一敷地内薬局や規模の大きい薬局グループなどに該当しない「調剤基本料 1」の薬局とそれ以外で算定基準が異なるものの、夜間・休日の対応実績に関する要件などは、薬局の立地や環境によって左右されることが推察されると指摘。そのため、そうした要件については全ての薬局で調剤基本料 1 の算定基準と同一にするなどの見直しを要望した。 要望書には4つの重点事項のほか、「医療DXの推進体制と活用への評価」「ナビイの活用による効率的な薬局情報の周知」「健康サポート機能発揮に対する評価」を含む計7項目を盛り込み、地域医療の要である薬局の持続的な経営に向けた対応を国に求めた。 |
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2025年05月号-1 |
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社福の土地・建物所有権、規制緩和へ |
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厚労省・検討会 |
2040 年の介護・福祉サービスの提供体制を議論する検討会が9日開かれ、厚生労働省は、社会福祉法人が社会福祉事業を行う際に土地や建物の所有権を原則取得しなければならない現行ルールを一定の条件の下で緩和することを論点として示した。また、社会福祉法人が国庫補助を受けて施設などの財産を取得してから10年未満に財産の転用や有償貸付を行う場合に補助金を返納しなければならない規制も条件付きで見直す方針を明らかにした。地域の実情に応じた既存施設の柔軟な活用を促すのが狙い。 社会福祉法人は、公益性の高い社会福祉事業を継続的に経営するため、必要な全ての物件について所有権を取得する必要がある。ただ、都市部など土地の取得が極めて困難な地域では、土地に限って貸与を受けられる。また、施設によっては特例の要件緩和が設けられており、特別養護老人ホームに関しては都市部以外の地域でも一定の条件の下で土地の貸与を受けられる。 厚労省は 9 日の検討会で、特に中山間・人口減少地域での社会福祉事業の新規参入を促すために貸付を容易にする仕組みを提案。社会福祉事業を行う際の土地・建物の所有権の原則取得や、財産の転用・有償貸付に関する補助金の国庫返納に関する規制について、「一定の条件を付した上で緩和する仕組みが必要」だとした。 また、現行では社会福祉法人が国庫補助により施設などの財産を取得した場合、取得から 10年未満にその財産の転用や有償貸付を行う際には補助金を国庫に返納しなければならない。この点について厚労省は、社会福祉法人が国庫補助を受けて介護施設を取得した場合、財産の取得から10年未満なら補助の対象事業を続けることを条件として財産の一部転用に限り国庫に返納する必要がないことを説明。この取り扱いを踏まえ、中山間や人口減少の地域で不可欠な社会福祉事業を維持するために必要な場合は、一部転用に限らず補助金の返納を不要とすることを認めるなど、より柔軟な仕組みづくりを論点に挙げた。併せて、中山間・人口減少地域で不可欠な社会福祉事業を維持するために必要であれば、所有権を持たずに土地や建物の有償貸付を受けて社会福祉事業を行うことを可能とした上で、貸付を行う側も補助金の国庫返納を不要とすることなどを論点とした。 厚労省が示した方向性への異論はなかった。松原由美構成員(早大人間科学学術院教授)は、地域によって介護や福祉のサービス需要が減少する中で地域のニーズに応じて既存の施設を柔軟に活用できる必要性が高まっているほか、特に中山間・人口減少地域では10年後も同じサービス需要を維持すべき状況とは限らないと指摘。その上で、「社会福祉施設の 10 年未満の転用についてもさらなる柔軟化が必要だ」と強調した。また、高齢者施設から障害者施設・児童施設への転用や複数施設の統合といった、異なる分野も含む横断的な検討を行うべきだと主張した。 大山知子構成員(社会福祉法人蓬愛会理事長)も社会福祉法人の財産の転用の柔軟化を厚労省に求めた。検討会では、介護や福祉サービスの共通課題や対応策を引き続き議論し、夏ごろ取りまとめを行う。 |
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