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2024年11月号-2 |
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入院受け入れ体制確保済み、特養のほぼ半数 |
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福祉医療機構 |
福祉医療機構は 20 日、入所者が急変した際の入院の受け入れ体制を協力医療機関と連携して確保できている特別養護老人ホームが、769 施設のうち 49.2%だったとする調査結果を公表した。また、介護ロボットや ICT(情報通信技術)などテクノロジーの活用を促す「生産性向上推進体制加算」は、「算定していない」が 74.5%を占め、ほかは加算T(月 100 単位)6.9%、加算U(月 10 単位)18.6%だった。 2024 年度の介護報酬改定では医療との連携推進がテーマになり、国は特養など介護施設に対し、協力医療機関と連携して▽入所者の急変時に医師または看護師が相談対応できる体制▽入所者から求められた場合に診療を常時行う体制▽入所者の急変時に入院を原則受け入れる体制−を確保することを義務付けた。この規定は経過措置として 24 年度から 3 年間は努力義務とされている。 それを受けて福祉医療機構では、協力医療機関との連携の状況を特養に質問し、769 施設の回答を集計した。それによると、協力医療機関と連携して急変時の相談対応体制を確保している特養は 61.5%、診療体制を常時確保できているのは 55.0%だった。 また、急変時の入院受け入れ体制の確保では、協力医療機関と「調整中」が 28.1%、「未着手」は 22.8%だった。 協力医療機関と連携して 3 つの要件をクリアできていない特養に、自由記述で理由を質問すると「病院が少なく対応できるところがない」「昼間の連携は取れるが夜間は厳しい」「病院と施設の温度差がある」などが挙がった。 調査は、福祉医療機構の融資先のうち、介護保険サービスを実施している 6,636 法人を対象に 7 月 19 日−8 月 20 日、ウェブ上で実施。特養・通所介護・訪問介護・通所リハビリテーションなど 9 種類のサービスの状況を聞き、1,673 法人が回答した(回答率 25.2%)。 今回は 9 種類のうち、特養など 3 つのサービスのアンケート結果を公表した。
●訪問介護「2%以上の減益」が 4 割超え 福祉医療機構では、企業の営業利益に当たる「サービス活動収益増減差額」が 24 年度の改定前後でどう変わったかも、9 つのサービスごとに集計した。 その結果、介護老人保健施設(165 施設)では 2%以上増加した施設が全体の 33.3%を占め、9 つのサービスで最も高かった。 一方、基本報酬が引き下げられた訪問介護(305 事業所)では 2%以上減少したという回答が42.3%を占めた。 |
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2024年11月号-1 |
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診療・介護報酬の臨時改定を要請 |
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医労連など |
医療・介護労働者の賃上げを行うには医療機関や介護施設への経済的な支援の拡充が必要だとし、日本医療労働組合連合会(医労連)などは 1 日、物価高騰や人件費の増加を補うため診療報酬と介護報酬を引き上げる臨時改定などの要請書を厚生労働省に提出した。また、看護師や介護職員など全ての「ケア労働者」の賃上げと増員につながるよう全額公費による賃上げ支援策を追加で行うことも求めている。 医労連が厚労省内で開いた記者会見で、佐々木悦子・中央執行委員長は、「地域の医療・介護を守るためにも医療や介護現場で働く全てのケア労働者の賃金の引き上げは喫緊の課題だ」と強調。それを実現するためにも診療報酬・介護報酬を臨時で改定し、抜本的に引き上げるべきだと訴えた。 看護職員などの賃上げに関して、国は診療報酬改定や賃上げ促進税制の活用で 2024 年度にベア 2.5%を目指すとしている。しかし要請書では、医労連に加盟する医療機関や介護施設による実際の水準は、9 月末時点で 1.42%に留まっていると指摘。24 年春闘の他産業の賃上げと比べると、「あまりにも低い賃上げで終わっている」とした。また、6 月の診療報酬改定で新設された「ベースアップ評価料」による職員の賃上げが公立病院や国立大学病院の多くでいまだに行われていないことも明らかにした。 その上で、政府がケア労働者の賃上げの必要性を理解しているなら、全てのケア労働者の処遇改善につながる施策にするべきだと強調。賃上げを実現させるため、医療機関や介護施設・事業所への経済的な支援の拡充が必要だとし、診療報酬や介護報酬を抜本的に引き上げる臨時改定を求めた。 要請書は、医労連と日本自治体労働組合総連合、全国大学高専教職員組合の連名によるもので、厚労省の鹿沼均保険局長に手渡した。 鹿沼氏は、「緊急に何とかしなければならない」と回答したという。
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