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2006年09月号-2 |
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将来の介護施設の在り方を議論 |
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〜厚労省の委員会が検討開始 |
厚生労働省の「介護施設等の在り方に関する委員会」の初会合が27日に開かれ、介護施設の基本的な在り方や施設入所者への医療提供の在り方について詳細な検討を始めた。結果は社会保障審議会介護給付費分科会に報告し、同分科会が行う介護施設サービス基準や報酬などに関する議論の論点とする。委員長には、大森東京大学名誉教授が選任された。 初会合では、厚労省側が介護療養病床を2012年3月末時点で廃止し、介護老人保健施設などへの転換を進めることなどを柱とする療養病床再編の概要や、介護療養病床を含めた介護保険の入所・居住系サービスの特色などについて説明した上で、委員が自由討論を行った。 厚労省側が療養病床再編による効果として、医療給付費4000億円減、介護給付費1000億円増となり、合計で3000億円の給付費削減につながるとの概算を示したことに対し、委員からは試算の根拠を疑問視する意見や、「これまでは介護給付を充てるべきところに医療費を充てていたということか」と従来の給付の在り方の整合性を厳しく追及する意見が出た。医療の必要が低い患者を療養病床から介護施設に移行するという厚労省の姿勢に対しても、「現在は医療の必要が低くても、将来的に必要になることを見越して医療機関を選択している患者も多い。そうした心理的な面についても研究する必要がある」との声もあった。 花井圭子委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局次長)は、介護保険3施設のうち介護療養病床での医療提供の実施率が、他の種類の施設と比べて突出して多いことを指摘し「介護施設での医療提供はどのようなものか、検証する必要がある」と訴えた。天本宏委員(日本医師会常任理事)は、「介護施設利用者の看取りについて、法的整備が十分でない。こうした議論も避けるべきではない」とした。
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2006年09月号-1 |
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地域医療支援病院制度見直しを求める声相次ぐ |
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〜地域独自の基準設定などを提案 厚労省の検討会 |
医療施設体系の在り方に関する検討会(座長・田中慶應義塾大学経営大学院教授)は20日、地域医療支援病院制度について検討を行った。委員から現行の承認要件の課題に対する指摘や、紹介率基準の廃止や地域ごとの独自基準導入などを必要とする意見が続出した。この日は具体的な方向性は定まらなかったが、制度を根底から見直すことになりそうだ。 地域医療支援病院は制度開始時の1998年には13病院だったのが、2006年8月11日現在では123病院となっている。365の二次保健医療圏のうち地域医療支援病院が設置されているのは88圏域で、1圏域に2〜3病院が指定されているところもある一方で、1病院もない地域も多い。地域医療支援病院の役割は紹介患者への医療提供や医療機器の共同利用、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修の実施だが、指定の要件となる紹介率80%以上などをクリアすることを重視しすぎるあまり、地域医療の支援機能を十分果たしていないとの批判がある。 20日の検討会では藤川康立委員(東芝人事・業務企画部部長付)が「地域医療支援病院が地域の医療連携の輪の中に入っていないような気がする。果たして本来の機能を果たしているか疑問を感じる」と口火を切り、「地域の在り方に合わせながら中核病院がどうあるべきかを議論すべきでは」と提案した。内田健夫委員(日本医師会常任理事)は「紹介率要件など全国一律の基準ではなく、地域の特性を生かせるような仕組みにしてよいのではないか」と、地域医療の実態に合わせて各都道府県が基準を決められるような緩やかな制度を求めた。 地域医療支援病院の機能面については和田ちひろ委員(NPO法人ヘルスケア・リレーションズ理事長)が「患者や市民はそもそも地域医療支援病院を知らない。家庭医を育成する機関であってほしい」と要望。梁井委員(順天堂大学医学部附属順天堂医院長)は「紹介率だけに注目されると、いわゆる門前クリニックの設置など不適切な形になる。紹介率を省いて地域連携が活発化するような基準に改めるべきだ」と述べた。 現在の制度では、地域医療支援病院の承認を受けるには紹介率のほかに救急医療提供や研修、200床以上の病床を持つなどの要件をすべて満たさなければならないが、島崎委員(国立社会保障・人口問題研究所政策研究調整官)は「地域医療支援病院がない地域が、ある地域に比べて医療が劣後しているとは思えない。紹介率を連携の指標とするのではなく、たとえば研修機能と救急機能を、それぞれ別の病院で担うケースを作ってもいいのでは」と、機能を分散することも認めるべきとした。 古橋委員(日本看護協会副会長)は「紹介率が一人歩きしている。方の趣旨は必ずしも成功しなかったのではないか。従来の地域医療支援病院が必要かどうかという原点に返って検討すべき」と、制度の必要の有無を含めた検討が必要とした。
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