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2025年08月号-1 |
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国立病院機構、24年度は375億円の赤字に転落 |
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厚労省・有識者会議 |
全国で140 病院(4.8 万床)を運営する国立病院機構の2024年度の経常収支が375億円のマイナスとなった。費用の増加が収益の伸びを大きく上回り、47 億円の黒字だった前年度から大幅な赤字に転落。04年度の機構設立以降、最大の赤字を計上した。 24年度は831床の病床を削減するなど病棟運営の効率化を図り、病床利用率は前年度比2.1%増の78.8%に改善。救急車の受け入れは366件増の22万9,896件、手術数は2,663件増の20万6,364 件となった。その結果、入院診療の収益は227億円、外来診療は13億円増えたものの、新型コロナ関連の補助金が廃止され、その分の収益が233億円減った。 経常費用は393億円増加した。基本給の引き上げや物価高騰などの影響で人件費が138億円、材料費が69 億円、水道光熱費が11億円いずれも増えた。経常収支は過去最大となる375億円の赤字を計上し、経常収支率は 96.7%となった。病院の本業に当たる医業収支ベースでは、前年度から赤字幅が83億円拡大し、408億円のマイナスだった。 国立病院機構は7月31日、厚生労働省の「独立行政法人評価に関する有識者会議」に24年度の業績を報告した。それによると、法人全体での患者数は入院で前年度比1.2%増え、外来で1.6%減った。コロナ前の 19 年度と比べると、入院は 7.6%、外来は 11.6%いずれも減っており、コロナ後も患者が戻ってきていない状況が続いている。 24 年度に経常収支が赤字となった病院は前年度から 30 病院増え 117 病院となり、全体の83.6%を占めた。医業収支ベースでは1病院増の121病院(86.4%)が赤字だった。 厳しい経営状況の改善に向けて国立病院機構は、25 年2 月に取りまとめた「経営改善総合プラン」を実行に移していくと説明した。病院個別に設定したKPI(成果指標)を活用した経営状況の見える化や経営改善の取り組みを推進する。 |
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