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2024年06月号-2 |
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電子処方箋の導入、働き掛け強化へ |
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政府 |
政府は 18 日、電子処方箋の導入のてこ入れ策を盛り込んだデジタル行財政改革に関する「取りまとめ 2024」を決定した。電子処方箋の導入状況をより「見える化」するとともに、導入が低調な都道府県では公立病院をはじめとする地域の中核医療機関への働き掛けを強化する。 厚生労働省では、電子処方箋に対応する医療機関や薬局の都道府県ごとのリストを今でも毎週更新しているが、今後は病院・診療所・薬局ごとの導入率を都道府県別に公表するなどより分かりやすい形式での「見える化」を検討する。 政府は、オンライン資格確認のシステムを整備済みの医療機関や薬局のおおむね全てに 2025年 3 月までに電子処方箋を普及させたい考え。しかし、オンライン資格確認のシステムを導入済みの医療機関・薬局に占める普及率は 9 日現在、1 割強にとどまっているため、てこ入れを図る。その一環で、政府は 23 年度補正予算で充実させた補助金(167 億円)の積極的な活用を都道府県に働き掛ける。それにより、電子処方箋の「面的」な普及を促す。 デジタル行財政改革に関する「取りまとめ 2024」は、政府のデジタル行財政改革会議が 18 日に決定した。一定の期間内に最大で 3 回繰り返し使用できるリフィル処方箋については、患者の利便性や医療現場の負担軽減の効果が大きい長期処方と共に活用を推進する。 24 年度の診療報酬改定の影響を調査・検証した上で、次の報酬改定までに適切な運用や活用策を検討するとしている。また、医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設状況を 24 年度中に把握する。オンライン診療のための診療所の開設は厚労省が 1 月、へき地に限らず都市部でも認めた。 |
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2024年06月号-1 |
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「総合診療科」の標榜容認検討へ、25 年結論 |
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規制改革推進会議 |
政府の規制改革推進会議は 5 月 31 日、医療や介護など分野ごとの規制の見直しに関する答申をまとめた。医療関連では「総合診療科」を院外標榜できるようにするため、広告規制の見直しの検討を厚生労働省に求めた。年度内に検討を始め、2025 年中に結論を出す。 医療関連ではほかに、▽在宅医療での薬物治療の円滑な提供▽オンライン診療のさらなる活用・普及−などを検討する。 答申に盛り込まれたのはいずれも担当省庁と調整済みのメニューで、政府はそれをベースに新たな「規制改革実施計画」を作り、近く閣議決定する。規制改革推進会議の冨田哲郎議長は答申を取りまとめた後の記者説明で、「当面解決していくべき方向性は今回の答申で打ち出せた」と述べた。 「総合診療科」の院外標榜の容認を検討するのは、患者がプライマリー・ケアにアクセスしやすくするのが狙い。 医療法の広告規制では、単独で広告(標榜)できる診療科名として、内科・外科・精神科・アレルギー科・リウマチ科・小児科・皮膚科・泌尿器科などを規定しているが、総合診療科は含まれない。しかし、高齢化に伴って複数の疾患や症状を抱える患者が増える中、「総合診療」を提供する医療機関を探しにくいとして、規制改革推進会議がルールの見直しを求めている。
●「初診からオンライン精神療法」25 年結論
在宅医療での円滑な薬物治療の提供では、在宅医療や夜間・休日などに対応できる薬局がどれだけあるかなど、一次医療圏(市町村)ごとの在宅医療の実施状況に関するデータを厚労省が 24 年度の上期に出す。 23 年の規制改革実施計画では、訪問看護ステーションにストックできる薬の種類の拡大を 24年度中に検討することになっていた。しかし、訪問看護ステーションがなかったり少なかったりする地域もあるため、薬局の機能強化を含めて地域ごとに適切な対応策を検討できるように、まず実態把握する。 一方、オンライン診療では、オンラインでの精神療法が初診から活用されるよう年内に検討を始め、25 年中に結論を出し、措置する。それに併せて、「オンライン精神療法」への診療報酬の見直しも 25 年度に検討する。
●介護等分野の合併でガイドライン作成、来年度までに
政府の規制改革推進会議は 31 日にまとめた規制の見直しに関する答申に、介護などの分野で円滑な合併や事業譲渡が行えるようにするため手続きの手順や処理期間、合併の事例や効果などを記載したガイドラインを 2025 年度までに作成することを盛り込んだ。また、手続きに関する自治体ごとのローカルルールの内容を公表する。現場の負担軽減を図る狙いもある。 ガイドラインについては、厚労省などが 24 年度中に検討を始め、事業者や自治体の意見も踏まえて作成・公表する。標準様式・標準添付書類も作り、事業者が全国一律の標準様式などを用いて合併や事業譲渡の手続きを行えるようにするための措置を 25 年度までに講じる。
●要介護認定の迅速化へ また、事業者が合併や事業譲渡を行う場合に手続きの予見性が低く、事務負担が重いとの指摘があることから、厚労省が 20 年 3 月に作成した「合併・事業譲渡等マニュアル」を見直し、25 年度までに公表する。 介護や保育などの分野での合併や事業譲渡を巡っては、公開情報で知り得る事例も限られているため事業者が現実的な選択肢として検討することが難しいとの指摘がある。また、必要な手続きについて自治体との調整が課題となっているとの意見や、自治体による不適切なルールがある場合には事務負担が重くなるとの指摘もある。 そのため、規制改革推進会議は規制の見直しに関する答申で、円滑な合併・事業譲渡を行えるよう環境を整備する方針を示した。 介護関連ではほかに、デジタルや AI(人工知能)などを活用した要介護認定の迅速化なども答申に盛り込んだ。 |
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