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2013年04月号-2
医療費を抑制する取り組みにインセンティブ
〜衆院厚労委で田村厚労相
 「ちゃんとやっているところにはメリットがあるというような形の政策を進めていきたいと思っている」――。田村厚生労働大臣は4月5日に開かれた衆議院厚生労働委員会で、医療保険制度内での健康づくりのための施策や地方自治体や保険者による医療費を抑制する取り組みへの支援策を問われて、こう答えた。
 質問したのは小松裕委員(自民)で、「医療費の削減に関し、私自身、医療の現場にいながら、今までに制度が変わるたびに機械的というか小手先だけの医療費削減政策が多かったのではないかと感じていた。すなわち、根本的な医療費削減政策、病気にならない、健康長寿でいること、これらを目指すといった観点が多少欠けているように医療の現場として感じていた。何よりも、病気にならないこと、健康を維持することが、医療費、社会保障費の削減にとって重要なことであり、保険制度の維持にも大きく貢献するものと考えている」と指摘。そのうえで、「保険制度の中での健康づくりのための施策、あるいは医療費を抑えるような努力をする自治体、保険組合に対して何らかのインセンティブを与えるといったような施策が講じられているのかどうか、具体的に教えてほしい」と尋ねた。
 対して、田村厚労相は、「特定健診、特定保健指導というものをスタートさせたが、この受診率に着目し、後期高齢者支援金の加算、減算というものをこの受診率と合わせて導入をしていこうということ。減算等々の中においてインセンティブをつけていこうということがいよいよスタートしようとしている。こういうことも含め、これからさらに、ちゃんとやっているところにはメリットがあるんですよというような形の政策を進めてまいりたいと思っている」と答えた。
 小松委員は続けて、「根本的に医療費を削減するための国民の健康づくりにかかわる要素に重点を置き、保険制度の中で医療費の削減が実現していくことになるなら、国にとって莫大な社会保障費の削減に貢献することとなり、国の財政再建にも大きく貢献することになる。国として、あるいは地方自治体として、この国民健康づくりのための考え方、そして施策に関して聞きたい」と質問した。
 今度は、とかしき厚生労働大臣政務官が、「今年度から第2次の健康21を開始し、健康寿命を延ばしていくことと健康格差を縮小していく大きな目標の下、栄養、運動、飲酒、喫煙など53項目を掲げ、国民の健康づくりのために生活改善等を行うことを進めている。新たな取り組みとして頑張っている自治体や民間団体への大臣表彰制度を創設し、先月第1回目の表彰を行った。こういう取り組みを通じ国民の健康づくりに積極的に取り組んでいこうと考えている」と答弁した。

2013年04月号-1
医療機関の消費税負担問題などで論戦
〜衆議院予算委員会
「医療は非課税だが、今後も非課税とする措置を続けていくのか」「医療機関の消費税の負担については、診療報酬で対応することになっているが、十分な対応とは言えないのではないか」――。4月8日の衆議院予算委員会で、自らも医師である河野正美委員(維新)が、消費税増税が医療機関に与える影響やそれについての具体的な対応などを麻生財務大臣や田村厚生労働大臣に問うた。
 河野委員は地域医療に従事してきた経験から、「医療を取り巻く環境は厳しくなっており、このままでは超高齢化社会を迎え、果たして地域で医療を受けられるだろうかと懸念している」と指摘。消費税増税の問題を挙げ、「8%、10%と段階的に上がっていこうとしているが、医療を守るはずの消費税が逆に医療崩壊を招く可能性がある。医療機関における控除対象外消費税、いわゆる損税の問題だが、消費税(導入)が検討された昭和63年当時、生命を守るために選択の余地なく支払わなければならない医療費に課税すべきではないといった観点から、医療は非課税になったと思うが、今後も続けていくのか」と質問した。
 これに対し、麻生財務相は「(医療費は)基本的には非課税というのは元々そうなっているので、今後とも基本的な考え方としてそう思っている。医療機関が薬品や医療機器などを購入する時にかかる消費税という部分は、いわゆる診療報酬によって手当てされてきた」と答弁。続けて、「経営面でいうと、今の医療機器はより高額になっているなど、そういったことに関してはどうするのかという点が一番これから議論されるところであろうと思うが、基本的な考え方として政策的な配慮から非課税が基本」と繰り返した。

■ 耐震化基準を満たすには多額の負担も

 河野委員はさらに、「社会保険診療費が非課税であるため、医療機関は患者さんから消費税を徴収しないことになっている。一方、医療機関が医薬品や医療機器などを仕入れる際には消費税を払っている。特に医療機関は不特定多数の方が集まるし、耐震化の問題も今後重要になってくる。健康でない方が多く集まる施設だから、東日本大震災を教訓に大きな地震等があった場合に耐えられる施設でなくてはならない。そうすると、今後、病院等は耐震化基準を満たすように建て替えていかなければならないということだが、その際には非常に多額の消費税の支払いを要する」と医療機関が直面している消費税負担の問題を指摘した。
 続いて、「本来は最終消費者が負担すべき消費税というものを患者さんから徴収できないばかりに、中間事業者である医療機関が最終消費者に代わってすべての消費税の納入義務を負っている。通常であれば、仕入れにかかった税額を除いた額を納税すればいいが、医療機関は非課税であるがゆえに仕入れ税額控除を行えない。日本医師会の試算によると、社会保険診療報酬の2.2〜2.5%が病院にかかってくる消費税の負担分だといわれ、100億円の病院であれば年間2.5億円になる。10%になれば5億円になってくる。地域における救急医療などで基幹となっている病院が吹っ飛んでしまうような状況に陥ると危惧している」と訴えた。
 さらに、「日本医師会の推計では、医療機関は年間約2300億円の損税が生じている。先ほどから非課税と答弁されているが、これについて我が国の考え方としては、医療機関に対して診療報酬に上乗せするという形で対応すると今日まで言われている。これは一部の(診療報酬の)項目に乗せるということで対応され、(消費税が導入された)平成元年には0.76%、(3%から5%へ上がった)平成9年は0.77%だが、何万もの項目があるうちの約36項目に乗せたということ。一部の項目に乗せたところで全医療機関がもらえるわけではないし、消費税負担という意味では公平に考慮されていないのではないか」と政府の見解をただした。
 対して、田村厚労相は、「平成元年に0.76%、9年に0.77%ということの根拠はどうなのか、ある程度のものはあると思うが、その後の改定で、それもどこへ消えて行ったかよく分からないという議論はよくある。そこで8%への引き上げ時は、高い投資に対してどうするのかという措置、それからもう一方、全般的にはやはり診療報酬の中でどうみていくかということを現在議論してもらっている。10%へ向けては税制の抜本改革と合わせて、これをどうみていくのかということも与党の税調の方で議論してもらっている」とかわした。

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