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2009年09月号-2
特養など介護保険施設の増加は計画の7割
〜厚労省
 厚生労働省は9月10日、都道府県など自治体が策定した第3期(2006−08年度)の介護保険施設などの増加見込み計画と実績を発表した。特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などの施設・居住系サービスについては、3年間の増加見込み数に対して達成率が71%にとどまっていることが明らかになった。同省がこうした集計結果を公表するのは初めて。
 都道府県や市町村が策定した第3期の施設・居住系サービス(介護療養型医療施設を除く)の増加見込み計画と実績を集計。その結果、計画は11万5355床だったが、実績は8万1490床となり、達成率は71%にとどまった。内訳は、特養が計画5万847床に対し実績3万7232床(達成率73%)、老健が2万6954床に対し1万6589床(同62%)、認知症高齢者グループホームが2万3858床に対し2万3421床(同98%)、有料老人ホームなど介護専用型特定施設が1万3696床に対し4248床(同31%)だった。
 また都道府県別の達成率は、京都が39%で最低。東京(44%)、千葉(49%)、滋賀(53%)、神奈川(54%)も低く、首都圏や近畿圏が下位を占めた。厚労省老健局の大島一博介護保険計画課長は、こうした地域の達成率が低かった理由について、▽土地や建物の価格、人件費などが高く、収支が成り立ちにくい▽人材の確保が難しい▽基盤整備のための補助が不十分―などを挙げた上で、「基盤整備は、首都圏や近畿圏など都市部でどうするかという課題が鮮明になってきた」との認識を示している。
 このほか、08年度の各月における在宅サービスの1か月当たりの給付見込み計画と実績も発表された。通所介護は計画518万回に対し実績783万回、通所リハビリテーションが265万回に対し300万回、訪問介護が1202万回に対し1379万回、短期入所生活介護が205万日に対し255万日となり、介護給付は全体的に実績が計画を上回る結果となった。一方で、介護予防通所介護や介護予防通所リハビリテーション、介護予防訪問介護などの予防給付は、全体的に実績が計画を下回った。

2009年09月号-1
次期改定での「総合リハ」創設などを要望
〜関連3団体
 日本理学療法士協会と日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会の3団体はこのほど、厚生労働省に対し、来年度の診療報酬改定に向けた要望書を提出した。患者や利用者の病態の重度化や複雑化に対応するための「総合リハビリテーション」の創設や、急性期におけるリハの充実、回復期リハ病棟の人員配置の見直しなどを求めている。
 要望は大きく分けて、@国民への質の高いリハビリテーションの提供A急性期リハビリテーションのさらなる充実B回復期リハビリテーション病棟のさらなる充実C地域特性に応じた算定日数制限超えの月13単位の継続―の4点。
 @では、脳血管障害を抱える高齢者の病態は、重度化・複雑化の傾向にあるとした上で、効果的なリハを行うには、多職種による総合的で密度の高いかかわりが必要だと指摘。「PT5人以上、OT3人以上、ST1人以上、合わせて10人以上の勤務」を施設基準とする「総合リハビリテーション」を創設し、1単位当たり250点とするよう求めた。総合リハを導入しない場合は、脳血管疾患等リハビリテーション料(T)で1単位当たり250点とすることを要望した。
 また疾患別リハについて、疾患ごとに点数が異なるため、単価の高い疾患が優先され、低い疾患では必要なリハを十分に受けられない状況が生じていると指摘。疾患別リハにおける施設基準と点数の見直しを求めた。
 さらに、脳血管疾患等リハや運動器リハにおいて、あんまマッサージ指圧師や看護師などが「一定の研修を受けただけで」診療報酬を得られる「みなし理学療法士」が認められており、しかもその数が増え続けているとして憂慮の念を表明。その上で、「まずは、PT・OTを合わせて4人以上の運動器リハビリテーション料(T)の創設を」と求めた。このほか、脳血管疾患等リハにおける廃用症候群の算定の存続も要望している。
 続いてAでは、急性期リハの強化によって、患者の早期の社会復帰を促すことが重要だとした上で、急性期リハのさらなる評価を要望。昨年度の診療報酬改定で実施されたリハ早期加算に加え、起算日から1週間のICUやCCUを含めたベッドサイドリハへの評価を求めた。また、急性期病棟でのリハスタッフの配置が「ほとんど見られない」が、患者の生活支援や早期退院にはリハスタッフの配置が有効だと訴えている。
 Bでは、患者1人に対して1日に3単位以上のリハを提供することを、回復期リハ病棟の条件とすることを提案。また、職員の配置基準が、病床数にかかわらずPT2人以上、OT1人以上とされ、患者に提供するリハの量の不均衡が「必然となっている」として、病床数に応じた配置基準にするよう求めた。さらに、回復期リハ病棟の配置基準にSTを加えるよう要望している。
 またCでは、月の途中で算定日数の上限に達した場合、その日以降、1か月13単位まで算定できるとしているのを、地域の状況に応じて継続できるようにするよう要望している。
 日本理学療法士協会の担当者によると、厚労省では、今年度の介護報酬改定で短時間通所リハなどを設置することで、「月13単位の受け皿とする」方針だった。しかし、実際にはリハの導入が進んでいない地域もあるのが実情で、このまま「月13単位」が削除されると、「リハ難民が生じる可能性もある」という。

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