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2024年07月号-2
介護情報基盤、26 年 4 月から施行へ
社保審介護保険部会
 厚生労働省は 8 日、介護情報を利用者本人や介護事業所、市町村などで共有する「介護情報基盤」を 2026 年 4 月 1 日に施行する方針案を社会保障審議会の部会に示した。また、その情報基盤に格納された被保険者の資格情報を活用することで、65 歳に到達した際の被保険者証の一斉送付や要介護認定手続きでの送付・記載・返付、サービス利用時での被保険者証などの提示をペーパーレス化する方針案も示した。
 介護情報基盤は、利用者本人や介護事業所、居宅介護支援事業所、市町村、医療機関が介護情報を共有・活用できるシステム。それが整備されれば、今まで紙を使ってアナログでやりとりしていた情報を電子で共有できるようになり、職員の負担軽減や情報共有の迅速化が図られる見通し。また、介護情報基盤に蓄積された情報を今後活用することにより、事業所間や多職種間の連携の強化や本人の状態に合った適切なケアの提供など介護サービスの質の向上につながることも期待されている。
 政府の医療 DX 推進本部が 23 年 6 月に決定した工程表では、その情報基盤を 26 年度から全国で実施していく方針が示されていたが、厚生労働省は 8 日の介護保険部会で、具体的な施行時期を 26 年 4 月 1 日とするスケジュール案を提示した。
 施行に向けて、国はシステム設計や事業者への支援策の構築、自治体システム改修の支援、早急な情報提供を行う。一方、介護事業所ではインターネット環境の整備のほか、介護情報基盤に接続して情報を閲覧する端末の準備、マイナンバーカードを読み込むカードリーダーの準備、閲覧端末のセキュリティー対策などを 26 年 4 月までに行う必要がある。主治医意見書を作成する医療機関は主治医意見書を電子的に共有するための対応を行わなければならない。
 この日の部会で厚労省は、介護事業所でのセキュリティーへの対応案も示した。具体的には、事業所が介護情報基盤にアクセスする場合には介護報酬請求の仕組みと同様にインターネット回線を用いて行う方式を検討する。
 また、介護情報基盤では通信ログの取得・保管・監視やログインルールの設定といった対策を行うほか、事業所には端末の管理や職員のアクセス権限の管理の実施を求め、これらについて既存の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を分かりやすく説明した事業所向けの手引きを作成する。
 意見交換では、介護保険被保険者証のペーパーレス化について、認知機能障害のある人にはハードルが高いことから慎重な検討が必要だとの指摘があった一方、ケアマネジャーには負担軽減につながるとして進めるべきだとする意見が出た。
 また、介護情報基盤の施行までに介護事業所ではインターネット環境の整備などの対応が求められるため財政支援が必要だとの意見が複数出た。
 部会では、被保険者証のペーパーレス化について利用者や市町村、事業者に配慮する観点から引き続き検討を行う。

2024年07月号-1
医療情報取得加算見直しの検討が論点に
中医協
 中央社会保険医療協議会の総会が 3 日開かれ、厚生労働省は、現行の健康保険証の発行が 12月 2 日に終了し、原則廃止されることを踏まえて「医療情報取得加算」の見直しの検討を論点に挙げた。
 中医協が 2 月に取りまとめた 2024 年度改定の答申書の附帯意見で、マイナ保険証への一本化に合わせて医療情報取得加算の見直しを年度の早期に検討するとされたのを受けた対応で、鳥潟美夏子委員(協会けんぽ理事)が「12 月に健康保険証の発行が終了したら(この加算は)一定の役割を終える」と述べるなど、支払側はそろって廃止の検討を求めた。一方、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「この加算の趣旨は標準的な問診表を使用することなどを通じて質の高い医療を提供する点にある」として、加算を単純に廃止することは「到底受け入れられない」と強く反発した。
 医療情報取得加算は、診療情報や薬剤情報を患者のマイナ保険証から取得し、活用する医療機関や薬局への評価。
 マイナ保険証を活用できる体制整備への評価だった「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を 24 年度の診療報酬改定で組み替えて継続させた。従来の医療情報・システム基盤整備体制充実加算と異なり、初診だけでなく再診の患者にも算定できる。
 中医協は 3 日の総会で、医療機関や薬局による医療 DX の取り組みを促すための診療報酬の評価を議論し、厚労省は医療情報取得加算の見直しの検討を論点の 1 つに挙げた。
 現行の保険証の新規発行が 12 月 2 日に終了し、原則廃止されることを踏まえ、「診療報酬の評価の在り方を改めて検討する必要がある」としている。
 意見交換では、支払側が廃止の検討をそろって求めた。松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「12 月 2 日に健康保険証の新規発行が終了したら、マイナ保険証の利用がある意味当たり前になる。その場合、医療情報取得加算を継続する必要性は乏しい」と述べ、次の診療報酬改定を待たず期中の見直しを主張した。
 高町晃司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は「(加算の見直しを)検討し、廃止する方向に進んでいくものではないか」と述べた。一方、診療側の長島委員は「この加算を廃止することはあり得ない」と存続を繰り返し主張した。

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