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2023年03月号-2 |
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「5類」後の診療報酬の取り扱いを決定 |
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感染症対策本部 |
3月10日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部では、新型コロナの感染症法上の位置付けを「5類」に引き下げた後の診療報酬の取り扱いについても決定した。 それによると、新型コロナウイルス感染症の位置付け変更に伴い、5月8日以降、外来及び入院における診療報酬特例について、次の@Aのとおりに見直すとされた。 冬の感染拡大に先立ち、今夏までの医療提供体制の状況などを検証しながら必要な見直しを行うとともに、2024年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定で、恒常的な感染症対応への見直しを行うこととなった。
@ 外来など
外来については、感染対策を一定程度評価しつつ、事務負担の軽減などに伴い新型コロナウイルス感染症患者の診療にかかる特例措置は見直していく。一方で、位置付けの変更に伴い必要となる入院調整などの業務を新たに評価することとなった。 位置付け変更後も必要となる、空間分離や時間分離に必要な人員、PPEなどの感染対策については引き続き評価した上で、受け入れる患者を限定しないことを評価する仕組みとする。 また、コロナ患者の診療にかかる特例措置については、届出の簡略化といった事務負担の軽減などに伴い、見直しを行う一方で、位置付け変更に伴い、今後は原則、入院調整などは各医療機関が実施することになることを踏まえ、これらの業務に対する評価を行う。 また、入院の必要性が低い場合に施設内での療養を支援する観点から、介護保険施設などに対する緊急往診は引き続き評価する。
A 入院
入院については、人員配置の効率化が図られている実態などを踏まえ、重症・中等症患者などに対する特例措置は見直していく一方で、介護業務の増大などを踏まえ、「地域包括ケア病棟」などでの患者の受け入れを新たに評価する。 重症・中等症患者などに対する特例措置、例えば救急医療管理加算4〜6倍などは、入院患者の重症化率低下、看護補助者の参画などにより、業務・人員配置の効率化が図られている実態や、高齢患者増に伴う介護業務への対応の実態を踏まえ、4〜6倍から2〜3倍などに見直していく意向だ。 介護業務の増大などを踏まえ、リハビリテーションや入退院支援体制が充実した病棟(「地域包括ケア病棟」など)での患者の受け入れを新たに評価する。 入院医療でも、リハビリテーション実施時も含め、必要な感染対策は引き続き評価する。
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2023年03月号-1 |
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かかりつけ医機能の深掘りの議論を |
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社保審医療部会 |
厚生労働省は2月24日、「第96回社会保障審議会医療部会」を開催した。今年1月で部会長の永井良三氏(自治医科大学学長)が退任したことを受けて、新たな部会長に就任した遠藤久夫氏(学習院大学経済学部教授)は審議に先立ち、「人口構造の変化や経済成長の鈍化を背景として医療制度改革は喫緊の課題だ。とりわけ医療提供体制の改革については、地域医療構想の実現、新興感染症への対応、医師の働き方改革、外来機能報告制度の導入、かかりつけ医機能の充実、医師の地域偏在対策などが重要で、かつ解決が難しい課題が山積しており、これらのテーマの多くは医療部会の職掌となっている。委員の皆様の協力を得て、課題の解決に向けて微力を尽くしたい」と抱負を語った。 同日の医療部会で事務局は、先ごろ閣議決定され、通常国会へ提出された「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」について報告するとともに、現在、「第8次医療計画等に関する検討会」(座長=遠藤久夫氏)で議論が進められている6事業目となる新興感染症対応についても合わせて報告を行った。
●具体的な制度設計など今後の議論の在り方に注文
政府が今国会に提出した全世代社会保障法案では、▽こども・子育て支援の拡充、▽高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直し、▽医療保険制度の基盤強化等、▽医療・介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化――などが盛り込まれている。特に、医療・介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化については、これまでの医療部会で何度となく議論となった、かかりつけ医機能について明記されており、▽医療機能情報提供制度の刷新(2024年4月施行)、▽かかりつけ医機能報告の創設(2025年4月施行)、▽患者に対する説明(2025年4月施行)―─の3つを柱として、かかりつけ医機能が発揮される制度整備が行われることになる。 これに対して神野正博委員(全日本病院協会副会長)は、事務局が示した「地域完結型の医療・介護提供体制の構築」のポンチ絵について、「この絵において、今回の1丁目1番地となるかかりつけ医を有する医療機関は病院も診療所もなり得る一方で、それと連携する特定機能病院、地域医療支援病院や紹介受診重点医療機関があるが、そのどちらでもない医療機関も存在するのではないか。二者択一的な絵となっており、整理が必要だ。また、地域包括ケアシステムにおける生活支援や介護予防をどう位置付けるかについても議論すべきではないか」と意見した。 楠岡英雄委員(国立病院機構理事長)は、「どういった医療機関がかかりつけ医機能を持つかについてはおおむね定まったが、それを国民・患者にどう使ってもらうのかという部分についてはあまり明確ではない。今後、患者側から見てかかりつけ医機能をどう活用すればよいのか、どういう時にかかりつけ医にかかればよいのか、あるいは、かかりつけ医を持たない方にどうやって自分に合ったかかりつけ医を見つけてもらうのかなど、国民への伝え方について検討が必要だ」と発言し、国民・患者目線での議論の必要性を指摘した。 河本滋史委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備はゴールではなく医療の最適化・効率化に向けた第一歩と捉えており、できるだけ多くの国民がそれぞれの希望やニーズに合わせて、かかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できる環境が整うことを期待している」と制度整備に対して一定の期待感を述べる一方で、「認定・登録の具体的な設計や合理的な診療報酬や患者負担の在り方など、大きな課題が残されている」として、今後の議論の在り方には注文を付けた。 |
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