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2025年07月号-2 |
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介護事業所の建て替えコスト増、「異次元の領域」に  |
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介人研 |
介護人材政策研究会は17日、介護事業所の建て替えや老朽化による修繕などのコストが飛躍的に増加しているとし、特別の救済措置を講じるよう求める要望書を厚生労働省の黒田秀郎老健局長に手渡した。以前から深刻化していた建築コストの増加について、昨今の物価高により、コストの上昇は「もはや『異次元の領域』に至った」と、窮状を訴えている。 要望書によると、改定率がマイナス2.27%となった2015年度の介護報酬改定以降、介護事業所の建築コストの上昇は深刻化する一方だとし、「建て替え計画が実現不可能となり、白紙になった」といった報告が全国各地から寄せられているという。 そのため、社会保障費で物価上昇の影響などについても的確な対応を行うとされた骨太方針2025 に言及し、新たな経済対策を通じた措置や食費の基準費用額の見直しなどに加えて、増大する建築コストへの対応を要望した。 要望書ではまた、骨太方針2025で介護の公定価格の引き上げを進める方針が示されたことなどを踏まえ、26 年度に他職種と遜色のない介護分野の処遇改善の実現に向けた取り組みを進めるよう強調した。 このほか、中山間地域などで在宅介護サービスの資源が減少している問題に対し、訪問・通所介護を一体的に提供する「複合型サービス」の実現に向けた検討を進めるよう要望。地域区分の 7 級地やその他地域への報酬を加算するなどの方策により、中山間・人口減少地域での在宅介護サービスの提供体制の維持や確保を強力に推進することとした。 また、厚労省の「2040 年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会で示された複数の社会福祉法人の連携や協働を進めるため、地域の中核となる法人や事業者などを後押しする仕組み作りが必要だと指摘。地域での介護人材を確保する戦略の強化を図る複数年計画も可能な支援体制の検討や、官民協議体を設置する自治体への支援の拡充も求めた。 要望書を受け取った黒田老健局長は、「提示された課題に対して、どのような答えを出していくかが重要」だと問題意識をにじませたという。 |
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2025年07月号-1 |
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医療機関の倒産、過去最多の24年上回るペース |
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帝国データ |
帝国データバンクは8日、医療機関の倒産が上半期(1−6月)で35件となり、過去最多を更新した 2024 年を上回るペースで推移していると発表した。1−6 月に倒産した医療機関の内訳は、病院9件、診療所12件、歯科医院14件だった。24年は通年で64件の倒産が発生し過去最多となった。24年上半期も最多の34件だったが、25年はこれをさらに1件上回った。 帝国データバンクが公表した25年上半期の医療機関の倒産動向調査では、負債額1,000万円以上で法的整理となった病院、診療所、歯科医院を経営する事業者数を倒産件数にカウントした。負債額10億円以上の倒産は、全て病院で4件。倒産の種類別では破産が34件と大半を占めた。地域別に見ると、18 都道府県で倒産が発生。北海道・東京・神奈川・奈良・兵庫・福岡の6都道県では各3件の倒産があった。 医療機関の倒産が急増している背景として帝国データバンクは、医療機器の価格や人件費、入院患者の給食費、光熱費などが高騰する一方、診療報酬でこれらを補填するには程遠い状況にあると指摘。また、診療所や歯科医院などの中小事業者では経営者が亡くなったり、高齢になったりして事業の継続が困難となるケースも急増しているとした。 病院については、建物の老朽化にも言及。帝国データバンクによると、病院を経営する全国の 5,132 事業者の 53.4%が、病院建物の法定耐用年数とされる 39 年よりも前に設立されていた。建物の耐用年数を超えても建設費の高騰や資金難で新たな施設を建設できず、事業の存続が困難となる病院が相次ぐ可能性があるとし、このままのペースで倒産件数が推移すると、25年の倒産件数は初めて70件に達する可能性があると危惧している。 |
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