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2013年10月号-2 |
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「消費税の引き上げで在宅医療・介護の充実が可能になる」 |
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〜衆院予算委で安倍首相 |
「在宅医療や在宅介護サービスの充実には、相当大きな要望がある。今回の消費税の引き上げによって、それが可能になっていく」――。安倍晋三首相は10月21〜22日に全閣僚が出席して基本的質疑を行った衆議院予算委員会で、消費税増税のメリットについて問われ、こう強調した。21日の自民党・石破茂氏の質問に答えた。 石破氏は、「『この時期に消費税を上げるというのは、一体どういうことなのだ』とよく言われる」と指摘したうえで、「消費税を上げることによって、実際に、国民にはどのようなメリットがもたらされるのか」などと安倍首相の見解をただした。安倍首相は、毎年増大している社会保障費の問題を挙げ、「特に年金と医療と介護は毎年伸びていくわけで、これに対するしっかりとした対応が必要であるわけだ」と指摘。そのうえで、「社会保障の財源を安定的なものにしていかなければ、社会保障制度自体を安定的に次の世代に引き渡していくことはできない」と説明した。
■ 消費税引き上げ分、「経済対策に一銭たりとも回すことはない」 安倍首相は、日本が直面している多額の累積債務への対応の必要性も示し、「国の信認を確保しながら、同時にしっかりとした社会保障のニーズに応えていくことが重要だ。さらには、子育てに対する施策も拡充していく必要があるだろう。それを行っていくためには、やはり新たな税の負担を願うしかないということだ」と強調。15日の所信表明演説などと同様に、「当然、消費税引き上げ分は全額、社会保障の財源として使う」と明言するとともに、「それをたとえば、経済対策に一銭たりとも回すということはない。これは、はっきりさせておきたい」と言い切った。 この後、具体的な事項について、基礎年金国庫負担の3分の1から2分の1への引き上げ、「待機児童解消加速化プラン」をはじめとする子育て支援を例示。さらには、「在宅医療や在宅介護サービスを充実していきたいというのは、相当大きな要望があるわけで、これも今回の消費税の引き上げによって、それが可能になっていく」と、消費税増税による国民のメリットを強調した。このほか、低所得者に対する保険料の軽減や難病対策の充実も挙げ、「こうしたさまざまな社会保障制度を充実することとしており、消費税財源という安定的な財源によって、国民が安心できる社会保障体制を構築・維持していきたいと思う」と述べた。 |
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2013年10月号-1 |
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「開業前に一定の総合医研修が必要」 |
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〜総合医シンポジウム |
総合医を育て地域住民の安心を守る会(会長=福井次矢・聖路加国際病院院長)は10月6日、市民公開講座「総合医時代がやってくる〜総合医の育成をめざして」を都内で開催した(賛助団体=MMPGなど)。 自民党参院議員の武見敬三氏はシンポジウムで、医師の地域偏在がある現状を踏まえ総合医の法制化や大学医学部の新設の必要性を指摘したが、参加者から否定的な意見が多く出された。日本医師会(日医)副会長の今村聡氏は「開業前に一定の研修を受けることを義務化することの方が重要ではないか」と指摘した。 武見氏は「総合医が必要であることについて、1960、70年代にすでに合意が得られている」としながらも、「どの程度制度化するか、英国のようなものかそうでないものか、きちんと議論しないと個別法に記入できない。それはこれからの議論になる」と述べた。 武見氏は、地域で活躍する医師や総合医を制度に組み込む必要性を主張。総合医養成に関して「大学医学部の新設は反対という意見があるが、既存の学部の枠組みの中でできるか。できないなら新しい大学ということも理屈としてありうるのではないか」と述べた。 これに、日医副会長の今村氏は「新設には賛成しない」としたうえで「これから30、40歳代の医師が開業していく。2025年までには12年。新たに専門医教育を受けた人が開業するときに総合医教育を受けることを逆にしっかりとつくっていきたい。法はデリケートな問題。開業前に一定の研修を受けることを義務化することの方が重要ではないか」と発言した。東京医科歯科大学附属病院長の田中雄二郎氏は「医学部をつくったとしても養成には6年、メディカルスクールでも4年かかり、新しい医師が生まれるのは10年後になる」とし、同会顧問で日本医学会会長の?久史麿氏も、「教授がよほど意識を変えていかないといくら新しい大学をつくっても同じことになるのではないか」と否定的な見解を述べた。 総合医の制度化は厚生労働省医政局医事課長の北澤潤氏が「直ちに法でどうこういう方向ではない。まずは第三者組織で平成29年(の養成開始)をメルクマールとして進んでいくものと理解している」と、現時点の法制化は否定した。 |
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