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2016年10月号-2 |
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特養への株式会社参入や混合介護の弾力化などを指摘 |
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〜公取が「介護分野に関する調査報告書」を公表 |
取では、報告書の公表に当たり、「事業者の公正かつ自由な競争を促進し、消費者の利益を確保することを目的とする競争政策の観点から、介護分野の現状について調査・検討を行い、競争政策上の考え方を整理した」などと説明。特別養護老人ホームについて「株式会社等が社会福祉法人と対等の立場で参入することが望ましい」としているほか、「混合介護の弾力化を認めることにより、事業者の創意工夫を促し、サービスの多様化を図ることが望ましい」と指摘している。
■「株式会社等が社福と対等の立場で参入できるようにするのが望ましい」 公取では主に、▼多様な事業者の新規参入が可能となる環境、▼事業者が公平な条件の下で競争できる環境、▼事業者の創意工夫が発揮され得る環境、▼利用者の選択が適切に行われ得る環境――の四つの視点から検討を実施。それを受け、報告書の「第4 介護分野に対する競争政策上の考え方」では、@参入規制の緩和、A補助制度・税制等の見直し、B介護サービス・価格の弾力化(混合介護の弾力化)等、C情報公開の促進・第三者評価の活用――について考え方を示している。 @の「提供主体等による規制(特養への参入規制)」では、「特養の開設主体に係る参入規制については、多様な事業者の新規参入を図るために撤廃し、医療法人、株式会社等が社会福祉法人と対等の立場で参入できるようにすることが望ましい」などと強調。「特に、非営利性の高い社会医療法人が参入することを規制する理由は見当たらない。非営利性の高い法人から参入が可能となるようにし、順次株式会社等が参入できるように段階的に緩和することも考えられる。また、その途中の段階において、社会福祉法人と株式会社等の共同出資会社が開設主体となることができるようにすることも考えられる」などと指摘している。
■「税制上の優遇措置は除外するなど、優遇の差を狭める方向で検討を」 Aでは、「社会福祉法人に対する税制上の優遇措置等については、事業者の提供する介護サービスの内容等に大きな影響を与えることに鑑みれば、制度の基本的枠組みは維持するとしても、例えば、現行制度下において、株式会社等が提供可能な介護サービスと同一の介護サービスを提供する場合には、その部分について社会福祉法人に対する税制上の優遇措置は除外するなど、優遇の差を狭める方向で検討することが望ましい」などとしている。
■「混合介護の弾力化で、事業者の創意工夫を促すことが望ましい」 Bでは、「介護サービス事業者間の競争を促進し、介護サービスの効率性の向上や利用者の多様なニーズに応えるためには、混合介護の弾力化を認めることにより、事業者の創意工夫を促し、サービスの多様化を図ることが望ましいと考えられる」などと指摘している。
■「積極的な情報公開、第三者評価の受審や評価結果の公表を」 Cの「情報公開」では、事業者に対し、「利用者が入手しやすい方法により、更に積極的な情報公開を行うことを期待したい」と指摘。「第三者評価」では、事業者に対し、「第三者評価の必要性や意義を十分に認識し、積極的な受審や評価結果の公表に努めるべきである」としている。
■「引き続き、競争環境の整備に向けた競争唱導活動を行っていく」 公取では、報告書の結語で、多様な事業者の新規参入や公平な条件の下での競争などが可能となる環境を整備していくことで、「多様な事業者の新規参入が進み、必要な介護サービスの供給量が増加するとともに、事業者間の競争の促進や利用者の適切な選択を通じて、介護サービスの質の向上が図られ、ひいては、介護人材の不足等、介護分野に係る課題の解決にも資する」などと強調。その上で、「引き続き、介護分野における制度改革や運用の動向を注視するとともに、必要に応じてフォローアップ調査を実施するなど、競争環境の整備に向けた競争唱導活動を行っていく方針」としている。 |
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2016年10月号-1 |
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『国民医療費は40兆8,071億円、人口1人当たり32万1,100円』 |
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〜厚労省、平成 26 年度の「国民医療費概況 |
厚生労働省は9月28日、平成26年度の「国民医療費の概況」を公表し、「40兆8,071億円、人口1人当たり32万1,100円」と発表した。平成26年度の国民医療費は、前年度の40兆610億円に比べ7,461億円(1.9%)の増加、人口1人当たりの国民医療費は同31万4,700円に比べ6,400円(2.0%)の増加となった。 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は8.33%(前年度8.30%)で、国民所得(NI)に対する比率は11.20%(同11.16%)となっている。
厚労省がまとめた「結果のポイント」 ○ 平成26年度の国民医療費は40兆8,071億円(前年度に比べ7,461億円、1.9%の増加)。 人口1人当たりでは32万1,100円(同6,400円、2.0%の増加)。 ○ 制度区分別にみると、「公費負担医療給付分」は3兆390億円(制度全体に占める割合7.4%)、「医療保険等給付分」は19兆1,253億円(同46.9%)、「後期高齢者医療給付分」は13兆3,900 億円(同32.8%)、「患者等負担分」は5兆659億円(同12.4%)。 ○ 財源別にみると、公費のうち「国庫」は10兆5,369億円(財源全体に占める割合25.8%)、「地方」は5兆3,157億円(同13.0%)。また、保険料のうち「事業主」は8兆3,292億円(同 20.4%)、「被保険者」は11兆5,448億円(同28.3%)。 さらに、その他のうち「患者負担」は4兆7,792億円(同11.7%)。
■ 医科診療医療費29兆2,506億円のうち入院医療費は15兆2,641億円 診療種類別に見ると、医科診療医療費は29兆2,506億円(構成割合71.7%)で、そのうち入院医療費は15兆2,641億円(同37.4%)、入院外医療費は13兆9,865億円(同34.3%)となっている。 歯科診療医療費は2兆7,900億円(同6.8%)、薬局調剤医療費は7兆2,846億円(同17.9%)などで、対前年度増減率を見ると、医科診療医療費は1.8%の増加、歯科診療医療費は1.9%の増加、薬局調剤医療費は2.4%の増加となっている。 |
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