|
|
2010年12月号-2 |
|
介護保険法改正での利用者負担増、全面的に見送りへ |
|
〜細川厚労相、保険料は「5000 円超えないように」 |
細川律夫厚生労働相は12 月24 日、来年の通常国会への提出を予定している介護保険法改正案について、居宅介護支援(ケアプラン作成)サービスへの自己負担導入や高所得者の自己負担割合引き上げなど、利用者負担の増加につながる内容を盛り込むことを全面的に見送るとともに、2012 年度からの介護保険料(全国平均)を5000 円以内に抑える方針を示した。同日の閣議後の記者会見で明らかにした。 会見で細川厚労相は、現在 4160 円となっている介護保険料(全国平均)が、第5 期介護保険事業計画期間(12−14 年度)には約 5200 円になる見通しであることについて、「(保険料は)抑えなければいけない。5000 円を超えないように検討したい」と述べた。その上で、「決定事項ではない」としながらも、介護保険法改正案に「利用者負担増(につながる内容)は入れない方向で行きたい」と語った。 具体的には、都道府県の財政安定化基金を取り崩すなどして保険料軽減につなげる考えを示した。ただ、「(これから各都道府県の)了承を得ないといけない」とも述べた。 利用者負担増については、「いろいろな意見がある」と指摘。居宅介護支援サービスへの自己負担導入などに対する賛否両論が併記された社会保障審議会介護保険部会の取りまとめや、介護保険料(全国平均)を 5000 円以内に抑える必要があるなどとした民主党政調の提言に触れた上で、「まずは(民主党などと)合意できる範囲で法改正したい」との考えを示した。 また細川厚労相は、同法改正案のポイントとして、「地域包括ケアシステム」の実現をコンセプトに、@医療と介護の連携強化などA高齢者の住まいの整備や施設サービスの充実B介護人材の確保とサービスの質の向上―など 6 項目を明らかにした。 @には、24 時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスの創設のほか、介護療養病床の廃止期限の猶予などが含まれる。 Aには、国土交通省との連携による高齢者住宅の供給促進と、社会医療法人による特別養護老人ホームの開設がある。 Bには、介護職によるたんの吸引を含む医行為の実施などが盛り込まれている。 このほか、細川厚労相は、介護福祉士の資格取得方法の見直しを延期する法改正も行うことを併せて表明した。延期期間については明らかにしなかった。 |
|
|
2010年12月号-1 |
|
受取代理、収入の半分以上が正常分娩の施設にも適用 |
|
〜出産育児一時金 |
12 月 2 日に開かれた社会保障審議会医療保険部会の会合では、来年度以降の出産育児一時金制度についても審議し、受取代理制度を利用できる対象を、収入に占める正常分娩費用の割合が 50%以上か、年間の平均分娩件数が 100 件以下の診療所、助産所とすることが了承された。 対象となる分娩施設が、受取代理制度の利用を希望する場合には、厚生労働省に届け出る。届け出た施設では、直接支払制度との併用も可能とする。 前回会合で厚労省側は、昨年 10 月の直接支払制度導入時に廃止された受取代理制度を、「年間の平均分娩件数が 200 件以下の診療所、助産所」に対象を限定して復活させる案を提示。これに対し、海野信也専門委員(日本産科婦人科学会医療改革委員長)は、分娩件数が多くても、収入に占める正常分娩費用の割合が高い産科専門施設は、直接支払制度の導入によって資金繰りが苦しくなると指摘していた。 2 日の会合で、日本助産師会副会長の毛利多恵子専門委員は「(分娩施設の)選択の自由を確保でき、ほっとしている。助産所の経営について、安心できると思う」との見方を示した。一方、健康保険組合連合会専務理事の白川修二委員は、「度重なる制度変更で保険者にストレスがたまっていることを、医療者側にもご理解頂きたい」としながらも、「(医療者と保険者の)双方がお互いに納得しないとうまくいかない」と、来年度からの制度変更に一定の理解を示した。 直接支払制度は、出産後に医療機関が保険者に申請して、出産育児一時金を受け取る仕組み。一方、受取代理制度は出産前に妊婦が保険者に申請し、出産後に医療機関が受け取る仕組みで、直接支払制度に比べ、▽退院から支払いまでの期間の短縮▽医療機関などの手続きの簡素化―のメリットがある。 |
|
|
|
|
|