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2007年12月号-2
08年度診療報酬改定率マイナス0.82%
〜本体部分は微増
 2008年度の診療報酬改定率を−0.82%とすることが決まった。政府・与党が17日に決定した。02年度から4回連続のマイナス改定となる。ただ、診療報酬本体は0.38%引き上げた。薬価・材料価格の引き下げ幅が拡大したことで診療報酬本体を当初予測よりも引き上げることができた。
 08年度改定率は、医科+0.42%、歯科+0.42%、調剤+0.17%。トータルで+0.38%となる。薬価は医療費ベースで1.1%(薬価ベースで5.2%)、材料価格は0.1%、それぞれ引き下げる。
 0.38%の引き上げ率は国庫負担として304億円の増、薬価の−1.1%で870億円減、材料は−0.1%で90億円減となり、トータル656億円の国庫負担削減につながる。
 08年度予算で社会保障費が7500億円増加するところを2200億円圧縮し5300億円に抑えることが求められた。このため、もともと診療報酬改定のプラス財源はなかったが、政管健保の国庫負担分を健保組合が750億円、共済組合が250億円、国保組合が38億円を肩代わりし、さらに薬価・材料価格分960億年、後発品の使用促進220億円、生活保護の母子加算見直し50億円、制度改正237億円でトータル2505億円を捻出した。このため、2200億円を差し引いた305億円を診療報酬の引き上げ分に充てることが可能になった。
■「ほっとした」「医療崩壊救えない」 関係団体の反応さまざま
 改定率が打ち出されたことを受け日本医師会の唐澤会長は18日、「マイナス改定の流れを押しとどめることができず大変残念だ。しかし、十分とは言えないものの医科は引き上げる見込みとなった。病院勤務医の疲弊、産科・小児科・救急医療の危機が少しでも救われることに期待したい」と述べた。日医は5.7%のプラス改定を要望していたが、「強力な削減圧力がかかる中で、プラス改定となってほっとしている」との心情も吐露した。健保組合などが政管健保の国庫負担を肩代わりすることに関しては、「かねてから日医が主張してきた保険者間の財政調整が一歩前進した」と評価した。
 日本病院団体協議会の鮫島議長は同日、記者会見を開き「300億円程度のプラスでは医療崩壊の現実を救うことはできない。結果として医療の荒廃は止まらない」と述べた。

2007年12月号-1
総合科と総合医創設に向け議論
〜医道審診療科名標榜部会
 医道審議会医道分科会診療科名標榜部会は7日、総合科・総合医の創設に向けた検討を再開した。委員間で「総合的な医師」の必要性については一致したものの、日本医師会などが総合医認定制を検討している最中であることから創設は慎重に進めるべきとする意見と、総合医認定制がどのように決まるかが分からないと不安を訴える意見が挙がった。
 この日の議論では総合的な医師の創設自体には反対する声が挙がらなかった。ただ、高久委員は日本医師会などが総合医の認定制を議論していることや日本家庭医療学会と日本プライマリ・ケア学会、日本総合診療医学会が総合医の研修プログラムを策定していることから「総合的な医師は将来的に必要だが、そう簡単に看板を付けられても信用はない。この学会が一つになるという動きもあるので、もう少し様子を見て考えた方がいいのではないか」と現時点での創設に慎重な見方を示した。さらに欧米では総合医の研修制度があることに触れて「漠然とした総合科では困る。初期研修ではプライマリーケアというが、卒後に計画的に養成する制度も必要」と、研修制度の確立が必要と訴えた。内田委員も同様に「今すぐ作るのではなく総合医が育つシステムを確立するべき」と養成制度の検討が第一と主張した。
 大島委員は「今はニーズが急速に高まっている。プロ集団が一枚岩になって教育システムを用意して、それに対応できるなら問題ない。しかし、三学会や日医が一生懸命やっているのを見守るべきとは思うが、本当にちゃんとやってくれるのか、きちんとしたものが出てくるかという疑念がある」と指摘し、「総合医の一番重要なパーツを担うのは医師会。国民の大きな不安に対し、われわれがいつまでにきちんとやると宣言してほしい」と要請した。辻本委員も「医師会が国の関与を嫌がる心情は分かるが、何が出てくるかを教えて欲しい」と要望した。
 総合医のイメージについて内田委員は「幅広い能力を持ち、地域の医療体制を熟知していること。学校保健など社会的な事業もやっているというものが出てくると思う」と述べた。
■「総合医と主治医は別」二川総務課長
 「総合医」が後期高齢者医療制度の主治医制度や人頭割などを想定しているという指摘がある点について、厚労省の二川総務課長は「ここで出したものは後期高齢者に限らず、子どもを含めた患者全体について地域で必要な人を診てもらうもの。主治医は患者から相談する存在が必要ということで別途の議論」と述べて、総合医と主治医とは別のものであることを強調した。

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