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2011年08月号-2
介護保険サービス関係団体懇談会が初会合
〜現場の医療体制見直しなど要望
 厚生労働省は8 月 8 日、来年度の介護・診療報酬の同時改定に向け、介護関係団体から意見や要望を聴く「介護保険サービスに関する関係団体懇談会」を開いた。
 7 月 28 日の社会保障審議会介護給付費分科会で、大塚耕平厚労副大臣が設置方針を示していたもので、出された意見は「老健局長を通じて介護給付費分科会に報告される」(大塚副大臣)という。この日は、事業者団体15 団体が参加し、介護現場における医療提供体制や人員基準の見直しなどを要望した。
 全国個室ユニット型施設推進協議会は、特別養護老人ホーム(特養)の配置医師制度などの人員基準が不十分だとして、在宅療養支援診療所など外部の医師が診療できる仕組みに改めるよう要望した。全国社会福祉施設経営者協議会(全国経営協)も、在宅療養支援診療所の医師が非常勤の配置医師に代わって特養で診療できるようにする仕組みなどを提案した。さらに、全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会は、小規模多機能型居宅介護事業所の中でも訪問看護などの医療サービスを提供できるようにすることを求めた。
 また、24 時間在宅ケア研究会は、来年 4 月に創設予定の定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24 時間訪問サービス)の課題として、深夜・早朝に勤務する介護職員や看護師の確保を挙げた上で、他サービスとの兼務を認めるなど、人員基準の弾力的な運用を求めた。

■要介護度改善への評価求める声も

 この日の会合では、介護報酬の在り方をめぐる要望も上がった。サービス付き高齢者向け住宅協会は、高齢者住宅の入居者に提供される 24 時間訪問サービスの介護報酬について、「高齢者住宅が施設化する懸念がある」として包括定額方式ではなく出来高方式が望ましいとした。全国有料老人ホーム協会は、有料老人ホームで医療ニーズが高い入居者を受け入れるケースが増えているとして、特養で設定されている初期加算や看取り介護加算などを有料老人ホームにも設けるよう求めた。全国特定施設事業者協議会は、24 時間体制で看護職員を配置している特定施設の割合が 13%程度にとどまっているとのデータを示し、夜間看護体制加算の増額を訴えた。
 また、利用者の要介護度を改善させた事業者への評価を求める声も上がった。全国経営協は、「要介護度を改善させると、(収入が減少し)経営上困ってしまうという実態がある」と指摘し、「“良貨”が生き残るようインセンティブを与えてほしい」と要望。日本福祉用具供給協会も「福祉用具(貸与事業者)がいいサービスをすれば、利用者は(福祉用具が)必要なくなる。(こうした事業者への)インセンティブが働くような形を考えてほしい」と訴えた。

2011年08月号-1
介護報酬の地域区分見直し、7 区分で合意
〜介護給付費分科会
 社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)は 8 月10 日、現行 5 区分の介護報酬の地域区分を、国家公務員の地域手当に応じた 7 区分へと見直すことで合意した。まず介護報酬全体の水準を一定程度引き下げ、そこで捻出した財源を引き上げが必要な地域区分に配分する「財政中立」のスタンスで格差是正を図る。来年度の介護報酬改定に合わせて見直す。
 厚労省が示した地域区分の見直し案によると、現行の5 区分を国家公務員の地域手当に応じた7 区分に改める。その際に、介護報酬の水準を一律に引き下げた上で、区分ごとの上乗せ割合を新たに設定する。具体的な引き下げ割合と上乗せ割合については、別に試算して今後検討するほか、報酬単価を算出するための人件費割合も、今秋公表予定の介護事業経営実態調査の結果を踏まえて検討する。
 現行の地域区分は、市町村ごとに「特別区」「特甲地」「甲地」「乙地」「その他」の5 区分に分かれており、各区分に15%から0%までが上乗せされている。さらに、それにサービスごとに決められた人件費割合を掛けることで報酬単価を算出する。
 一方、国家公務員の地域手当は、最も高い「1 級地」から最も低い「その他」までの 7 区分。昨年 4 月の本格導入に当たっては、給与水準を一律に 4.8%引き下げた上で、各区分の上乗せ割合を18%から0%の範囲に設定した。
 この見直し案に対し、山田和彦委員(全国老人保健施設協会会長)は、「現場が職員の処遇改善に努力している段階で、人件費相当分を引き下げるのはいかがなものか」と、報酬水準の引き下げに反対姿勢を示した。村上勝彦委員(全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長)も、「(上乗せ割合が 0%の)『その他』地域が 90%以上ある。そこの事業所への影響が大きすぎる」と訴えた。
 また、国家公務員の地域手当見直し時に給与水準が 4.8%引き下げられたことから、複数の委員から「介護報酬が 4.8%引き下げられるのではないか」と懸念の声が上がった。これに対し厚労省老健局の宇都宮啓老人保健課長は、「そもそも4.8%が前提ではない。国家公務員の地域手当と、介護保険の場合は数字は違う」とした。
 宮島俊彦老健局長も、「介護報酬の場合は、『その他』地域にたくさん事業所があるので、4.8%も下がらない。格差を是正するのだから、下げた分は上げるところに乗せるということ」と述べた。
 このほか、田中滋委員(慶大大学院教授)は、7 区分への見直しに伴う影響があるとし、激変緩和措置を取るべきと指摘。宇都宮課長は、「級地が3 つ変わったり、それで(上乗せ割合の)パーセンテージが大きく変わったりすると、利用者や事業者に影響があると思う。何らかの方法で緩和するのは十分あり得る話」と述べた。

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