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2011年06月号-2 |
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介護療養病床の転換の在り方、危惧する声も |
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〜介護給付費分科会 |
社会保障審議会の介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)は5 月30 日の会合で、地域包括ケアシステムの構築に向けた医療と介護の連携をめぐり議論した。委員からは、介護療養病床の 6 年後の廃止方針をめぐって介護老人保健施設(老健)や医療療養病床への転換の在り方などを危惧する意見が出た。 介護療養病床は、来年3 月末までに廃止されることになっている。しかし厚労省によると、昨年12 月時点で8 万3000 床余りあり、他の施設への転換は進んでいない。こうした状況を踏まえ、今国会で審議中の介護保険法等改正案には、既存の介護療養病床の転換期限を6 年間延長する規定が盛り込まれた。 厚労省がこの日の会合で示した介護療養病床に関する調査の結果によると、▽介護療養病床の患者は医療区分1、A DL区分3の割合が高い▽医療療養病床の患者は、医療区分2、3 で、ADL 区分 3 の割合が高い▽介護療養病床は、喀痰吸引、経管栄養や胃ろうなどの実施割合が老健よりも高い―などの傾向があった。 意見交換で三上裕司委員(日本医師会常任理事)は、介護療養病床で喀痰吸引や経管栄養などの実施割合が高いとの調査結果を受け、「老健施設への転換は理屈が通らない」と主張。また、「介護療養病床が廃止になって医療療養病床に転換する場合、医療区分1、ADL 区分 3 がどのように評価されるのか」と疑問を呈した。 武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、介護療養病床の患者の3 割余りが死亡による退院だとして、「(介護療養病床は)医師がいるからこそ看取りができる。病床として必要ではないか」などと必要性を訴えた。 また、勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)も、「介護療養病床をなくした場合に、本当に安心して終末期を迎えることができるのか」と懸念を示した。これに対し、厚労省老健局老人保健課の宇都宮啓課長は「(廃止を延期する)6 年間で議論を深め、ニーズに対する受け皿を整えていく」と応じた。 ■リハビリなどもテーマに また厚労省は、医療と介護の連携をめぐり議論すべきテーマとして、リハビリテーションや訪問看護も示した。これに関して、池田省三委員(龍谷大教授)は、退院後のリハビリテーションの重要性を挙げ、「本人や家族、ケアマネジャーの連携によって(要介護度の)悪化を食い止められる」と指摘。また、井部俊子委員(日本看護協会副会長)は、「高齢者がスムーズに在宅療養に移行できるように、介護保険における退院支援の仕組みを次期改定で整備する必要がある」などと訴えた。 |
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2011年06月号-1 |
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診療報酬改定の延期「考えていない」 |
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〜細川厚労相 |
細川律夫厚生労働相は6 月 3 日の閣議後の記者会見で、来年度の診療報酬改定について「今のところ延期することは考えていない」と述べた。 細川厚労相は、「定期的に行う診療報酬改定は大変大事な決めごとだ」と指摘。改定の重要な資料となる医療経済実態調査の実施について、「(東日本大震災の影響で)難しいところはあると思うが、できるだけ実態に沿った形の調査ができるように十分配慮して進めていく」とした。 同調査の実施をめぐっては、5 月 18 日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会で、日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員が、被災地の復興を優先することなどを理由に反対の立場を表明。この日は実施の是非について結論が出なかったが、6 月3 日に開かれた総会は、被災地などに配慮しながら実施することで合意している。 |
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