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2011年05月号-2 |
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介護能力の 7 段階評価、現場で実証事業へ |
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〜政府「キャリア・アップタスクフォース」 |
実践的な職業能力の評価制度を検討する政府の「実践キャリア・アップ戦略 専門タスクフォース」は5 月18 日の会合で、下部組織の介護人材ワーキング・グループ(WG)が取りまとめた論点整理を了承した。介護人材の能力を 7 段階で評価する際の基本的な考え方などを示したもので、同WG で年度内に具体的な基準案を策定し、介護施設・事業所での実証事業を行う予定だ。 同 WG の論点整理によると、介護人材の能力評価は、既存の資格制度と異なり、現場で培った実践的なスキルを評価するもの。介護職員にとって、処遇改善につながることが想定される。また、事業者にとっては、OJT(現場での実務研修)のツールとして活用したり、介護人材を処遇する上での判断材料にしたりできる。介護業界全体としては、キャリアパスの明示によって人材確保につながるとも期待される。 介護人材の実践的な能力については、介護初任者研修を終えた程度のレベル1 から「トップ・プロフェッショナル」のレベル7 までの7 段階で評価する。知識だけでなく、課題に対する現場での仕事ぶりと結果も判断材料にする。評価方法については、▽施設・事業所での内部評価▽介護サービス情報の公表制度の調査機関などと連携した外部評価―を軸に検討される。評価業務を担うのは、「一定の実務経験を持つ介護福祉士」より上のレベルの人が想定されている。 内閣府の担当者によると、今後は同WG の下に小委員会を設置し、7 段階の具体的な基準案の検討作業に入る。年度の後半には、基準案が現場に合った妥当なものかどうかを判断するため、介護施設・事業所での実証事業を実施。その結果を踏まえて基準を策定し、来年度からの本格実施につなげる方針だ。 |
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2011年05月号-1 |
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介護保険新サービス、看護職確保に懸念 |
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〜介護給付費分科会で議論 |
5月13日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)の会合では、来年度の創設が予定されている「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(定期巡回・随時対応サービス)と「複合型サービス」をめぐり、自由討論が行われた。委員からは、新サービスに組み込まれた訪問看護サービスについて、看護職員の人材確保を懸念する意見などが出た。 両サービスは、今国会に提出された介護保険法等の改正案に盛り込まれている。 同法案が成立すれば、来年度から介護保険上の「地域密着型サービス」として創設される。 定期巡回・随時対応サービスでは、24 時間体制で訪問介護と訪問看護が提供される。1 日複数回、短時間のサービスを提供するほか、利用者からの通報に応じた随時対応も行う。 同サービスをめぐっては、「24 時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」が今年 2 月、事業の在り方を検証した報告書を公表。人口 10 万人の地域に同サービスの事業所が五つあり、一つの事業所における利用者数を 45 人とした場合、確保すべき職員数は、介護職員 22.8 人、看護職員 1.71 人(いずれも常勤換算)などとする試算を示した。 また複合型サービスは、医療へのニーズが高い要介護高齢者への支援を目指し、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせる。 自由討論では、齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会理事)が「看護職員不足が根底にあるため、(サービスの)形をつくっても、(勤務する)人がいないという問題が付きまとうのではないか」と、定期巡回・随時対応サービスなどでの看護職員不足に対する懸念を示した。また、三上裕司委員(日本医師会常任理事)は「訪問看護も定期巡回や随時対応の対象ならば、(検討会の報告書で示された看護職員数の)1.71 人で、24 時間 365 日の対応ができるのか」と疑問を呈したほか、木村隆次委員(日本介護支援専門員協会会長)は「現行の訪問看護ステーションの人員基準である2.5 人をクリアさせないといけない」と強調した。 また、同サービスの介護報酬をめぐっては、池田省三委員(龍谷大教授)が「政策誘導的な(高い)価格を設定しないといけないが、代わりにどこを減らすかを考えないといけない」と主張。「特別養護老人ホームの 4 人部屋(多床室)より高い報酬でもいい。多床室は下げるべき」「要支援や要介護 1 の人には(定期巡回・随時対応サービスは)いらない。制度上、(対象から)外さないならば、(要支援や要介護1 の)介護報酬を下げればいい」などと、給付の重点化を訴えた。 このほか村川浩一委員(日本社会事業大教授)は、小規模多機能と訪問看護以外を組み合わせた複合型サービスを検討する必要があると指摘。認知症高齢者グループホームと訪問看護の組み合わせなどを例に挙げた。 |
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