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2024年05月号-1 |
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オンライン診療、5 分遅れると病院に電話 |
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厚労省 |
オンライン診療を含む遠隔医療の適切な普及につなげようと、厚生労働省は、医療機関の取り組み事例集(2024 年 4 月版)を作り、各都道府県に共有した。国の規制改革実施計画などでオンライン診療の好事例を横展開することとされたのを受け、地域特性や診療科が異なる 15 の医療機関から課題や効果などをヒアリングした。 15 の事例のうち「青山メンタルクリニック」(東京都港区)では、うつ病・統合失調症・不安神経症・パニック障害など、急性期を除く精神科疾患全般の患者に 20 年 3 月からオンライン診療を行っている。23 年 12 月現在、約 90 人の患者がオンライン診療を利用している。 当初は、受診歴がある患者向けに始めたが、新型コロナ禍で精神科を予約できない患者がいたため、受診歴のない初診患者の一部に対象を広げることになった。それに合わせ、初診では向精神薬を処方できないなど「遠隔診療についての注意点」を作り、クリニックのホームページに掲載している。 新型コロナ禍に精神科を受診できない地域の患者にもオンライン診療で対応できたほか、遠方に転居した患者の診療を継続したり、施設の入所者など高齢な患者の通院や付き添いの負担を軽減できたりしているという。遅刻が多い患者にはオンライン診療の当日に事務スタッフが電話を掛け、円滑に始められるようにしている。 一方、時間通りに待機している患者は、待合室での待合と異なり医師やほかの患者の状況が見えず、医師側の遅れに敏感になるという。そのためオンライン診療の場合は、予約時間内に診療を開始・終了させる意識が対面診療より必要になるとしている。 織田病院(佐賀県鹿島市)ではオンライン診療のコロナ特例が始まった 20 年 4 月、オンライン診療を本格導入した。かかりつけの患者の感染症対策の一環としてスタートしたが、患者側にニーズがあるため、引き続き活用する。 症状が安定している定期受診の患者が対象で、初診は対象外。23 年 12 月現在、175 人が利用している。全診療科でオンライン診療を受け付けているが、対面でなければ診療が難しい科もあり、皮膚科や内科で利用が多いという。オンライン診療を行うに当たり、特徴や限界を患者側にも正しく理解してもらうようにしている。説明の内容が職員によって異ならないように病院が説明の文言を決めた。 オンライン診療の開始直後には実施件数や患者の満足度を毎月調査し、「安心できるか」「続けたいか」など、どの項目でも高評価だった。患者の受診に付き添う家族からの評判が特に良かったという。対面とは異なり、オンライン診療の場合は、予約時間を 5 分でも過ぎると病院に電話が掛かってくることがある。そのため予約の際は、「〇時〇分開始」とするのではなく、「〇時−〇時の間に実施」と幅を持たせて案内しているという。
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